社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

Another Story

口下手な俺は、なかなか気持ちを言葉に出来ない。
言葉にしたとしても、精精くだらない話をする程度だ。
貴方のそんな所が素敵、口説くのが上手い人なんて信じらんない、
と彼女は言うけれど。
好きだ、と言えない代わりに、俺は彼女に歌を歌っている。


ある日、彼女と会えなくなった。
電話してみたが、彼女が出ることはなかった。
何があったのかは知らない。
ただ噂では何らかの精神的ショックを受け、心が一切の音をシャットアウト
してしまっているらしい。
俺は思い切って、そ知らぬ風に「元気か?」とメールしてみた。
彼女からは返事が無かった。


彼女に会えないのは悲しい。嫌われてしまうのはもっと悲しいけれど
仕方が無いのかもしれない。
何も取り柄が無い、歌う事しか出来ない人間なのだから。
だけど、もし俺が気付かない所で彼女を傷つけてしまい、
彼女の世界から音を奪ってしまったのだとしたら。
愛しい人を失っただけではない、傷つけ、苦しめてしまった。
こんな世界で生きていられない。


俺は自分の首に剃刀を当て、横一直線に引いた。


目を開けると白い天井。
死に切れなかったようだ。
友達が差し出したのは携帯電話。
病院で電源入れていいのか?と返す間もなく目にしたものは
彼女からのメール。


 メールありがとう。貴方の「元気か?」の一言が嬉しかった。
 今は上手く言えないのだけど、もう大好きな貴方に会う事は出来ないと
 思って返信しなかった。
 まさか貴方が私より先に死を選ぶなんて思ってもみなかった。
 ごめんなさい。ごめんなさい。
 どうか、生きていて下さい。
 また会いたいです。
 会えたら、きよしこの夜歌って欲しい。


聞こえなくても、今彼女の顔が見られなくても気持ちは伝わっていたんだ。
街はクリスマス、幸せそうな人と歌で溢れている。


以上、クリスマスの小話。お粗末。
ゆべしス仲間のMさんが昨年書いておられるのを拝読して、
小生もやってみた。
THE BACK HORNの「羽根」って彼女が死んでしまうのかと思っていた
けれどそういう訳ではない、生きていると聞いた覚えがあって
それならば、少しでも二人がハッピーエンドを迎えられたら、と思う。
(死ぬのだとしても何故か心中だと思っていたよ。。。)
ああお恥ずかしいったらありゃしない。


しかしクリスマスに好きな歌聴きたいやい!と思っても
「羽根」はリクエストしづらいよなぁ。。。
ACIDMANでも無いよねぇ、クリスマスっぽい歌。
モーサムの「ペチカ」はクリスマス前だし。
怒髪天でクリスマシーな歌があったらいーのに。
ああそうか、こういう時こそフラカンの「真冬の盆踊り」か!
よさほいよさほいよさほいのほい!
クリスマスに盆踊り!素敵。