社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

ハーモニー

昔々、小生が大学4回生の頃、Harmoniumというバンドというか
グループというか、を2人(後にゲスト入れて4人)でやっていた。
その名前を見た友人が「稲沢はほんとに本好きなんやなー」と一言。
篠田節子の「ハルモニア」が出た直後だった。
気になるけどその時は読んでなかったんだが*1何というシンクロニシティ
今「ハーモニー」読んでめっちゃ面白かった話をしたら
友人はまた「本好きなんやなー」って言うんだろうか。
ハーモニウム自体はリードを使ったオルガン。という説明で良かったか。
写真で見たのは「Player」の「Dear My Partners」の山内回。
レコーディングで色々オルガン等の楽器が登場するらしいので
ハーモニウムも出てきやしないか、と楽しみにしている。

ハーモニウムの話はさておき。
伊藤計劃、「虐殺器官」に続いて、「ハーモニー」も一気に読み切った。
以下ネタバレなのでこれから読むかもの方は
ほなさいなら、という事で。




読み終わった後、妙にぱかーんとした気持ちに。
文庫版の表紙にも成程と思った。
ああこれでよかったんだ。ハッピーエンドなんだ。
後から「最初の方に出てきたような民達みたいなのはどーやって
意識を消去させたんだ?」とか色々ツッコみたい点はあったけれど
面白かった。
(もしかしたら、以降の人類、意識を持ったままの人間の物語が
 書かれる筈だったのかもしれない。。。)
果たしてこの結末は人類にとって幸せなんだろうか?
とは思うけれど、意識を手放してしまったら楽になるだろうなぁ。
文中のタグは、作中の読み手以外でも普通に物語を活字媒体で読む人間にも
「ああ怒ってるんだ」等と感情が明示されているのが分かって面白い。
伊藤氏は言葉の力みたいなものを信じておられたのだろうか。
言葉に別の力を込めて、それを発動させて暴動起こしたり虐殺したり
大量自殺させたりというのが多いが。
決して良化する方に使わないっていう。
病気を治したり精神衛生を良く保つ方ではないんやね。
ある種の「呪」とも言えるんじゃないかねぇ。
伊藤氏の作中の各種テクノロジーはなかなか出てこないだろうけど、
この「呪」は実現しそう・・・秘かに使われてたりして。

*1:文庫になってから待ってました!と読んだが今の所篠田氏の小説を読んだ中で一番好きな作品である。