1989
1989年。
私が中学へ入学した年。
当時、その中学は市内トップクラスの荒れた学校で
兎に角怖かった。
(でも窓ガラスは一応填ってたし、トイレットペーパーもあった。)
校則守るのは、先輩に目を付けられないようにする為だった。
光GENJIのコンサートに行くとリンチされる、という噂もあり
ファンである事を内緒にしていた。
新しい環境にわくわくする事は一切無くて
ただ毎日怖かった。
先輩や同級生にリンチされないか。いじめられないか。
その頃、東京で夢の為に故郷を離れ、アルバイトしながら
「必要とされたい」「明日は誰かに会えるかな」と思っている
青年の存在など知る由も無かった。
珍しく積もった雪が嬉しくて友達と雪合戦している間に
ヤンキーの先輩が職員室に殴りこみして午後から授業が無くなったり
雪合戦とは別の友達からの手紙にピロウズというバンドの事が
書いてあったりするのは、それからもう少し後の出来事になる。
やがて友達と行ったthe pillowsのライブで、その青年、
山中さわおに出会う。
出会うったって、何メートルも何メートルも先、人と人の間から
僅かに見えただけなんだけど。
ピロウズの事を手紙に書いた友達は、私より先に天国に行ってしまった。
だけど手紙に書かれた「ピロウズ」という、まぁるい字は忘れない。
私にとってのthe pillowsは「ピロウズ」というカタカナ4文字なのは
その手紙の所為なのかも。
20年って歳月は色々あるね。