社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

浮世に言い忘れたこと

週明けて、また目眩でぐるぐるしてる。

「浮世に言い忘れたこと」(三遊亭圓生小学館文庫)読んだ。
昭和の大名人の随筆集、とのこと。
文章のリズム感から、語っておられるのをどなたかが書きものに
されているのだと思っていた。
大名人、後々まで名を残す噺家さんは話芸だけじゃなくて
書き言葉も美しいし、読みやすいのだな。
一柳斎柳一さんに色々教わるエピソードがあるのだけれど
そんな感じで圓生さんのお話を伺うような感じである。
明治・大正・昭和の話を伺う機会など殆どないので、面白かった。
人力車なんて観光地でしか見ないもんね。
半分くらいは「昔はよかった、今は・・・」という調子なのだが。
自分を捨てて夫に尽くす女性がどうとか、我慢が足りないとか。
確かに平成を生きる人間は我慢が足りないのかもしれない。
若いモンだけじゃなくて年寄りもそういうとこがある。
ただ、我慢を美徳としてきた歪みが平成の問題として表れているような
気がして、何となくモヤモヤしながら読んでいた。
そんな事言ったらお叱り受けちゃうんでしょうけど。
圓生さんが現世ご覧になったら、どうお思いになるのだろうか。
何もかも情けなく思われるのかもしれない。

芸事についてのお話は、落語以外にも通じるものがあるなぁ、と思って
読んでいた。
ざっくり書くと
・地固め
・少しずつ、細切れにしてやればいい
・骨を覚える
・我が身に合った工夫をする
・多芸を習う
など。
間や勘は教えて貰って身につくものではない、努力を重ねて覚えていく
しかない。
落語をやる場合でも踊り、唄・三味線をちゃんとお稽古するべきだそうだ。
日常の所作もお稽古の一環だったのかもしれない。
あと「素人のお道楽のほうは、金をたくさん使ったほうが偉い」とか。
(というのを機材買う言い訳にしちゃいけませんね)

しかし大名人となるとご本人もその上の方も粋だなぁ。
エピソードがどれも面白かった。