社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

薔薇十字叢書

薔薇十字叢書。
京極夏彦公認シェアード・ワールド小説。
平たく言うと百鬼夜行シリーズの世界観・登場人物を生かして
違う作家が
Founder京極夏彦」という事は京極先生ご自身がその作家さんの
作品を読んでこの人なら、とご判断されたのだろうか。

で。
「面白ければ何でもアリなんです。」との事。
面白ければ。

取り急ぎ「薔薇十字叢書 桟敷童の誕」(佐々木禎子/富士見L文庫)
を読んだ。
一番元の百鬼夜行シリーズに近そうなので。
面白かった。
全部じゃないけど、なるべく文章が捲るページを跨がないように
なっている。
京極堂と関口の奥さんが結構出てくるのな。
しかし、登場人物がこんな人だったっけ?とハテナ飛ばしながら
読んでしまった。
榎木津ってこんなぺらっぺら喋る人だったっけ。
無口な人ではないのは承知、でもこんなに言葉数多かったっけ。
もう少し”重さ”があったような。
それともうちょっとだけ、”じっとり”してて欲しかったような。
”さらり”としていた感じが。
暫く百鬼夜行シリーズ自体読んでなくて覚えてないだけかもしれないから、
何とも言えない。
作者の方は関口がお好きなようなので、もっと関口に寄ってても
面白かったかもなー。

薔薇十字叢書シリーズは難しいなぁ、と思ったのは
元となる京極先生の百鬼夜行シリーズを読んでた方がより楽しめるが
そうすると読み手が元のイメージに引っぱられた上で読むので
どうしても比較してしまう事である。
全然知らないで独立した小説として読んでも楽しめるとは思う。
でも知ってた方が、より面白い。
面白いけど、「この人そんな人だったっけ?」と微かに思う。
それは書き手がそんな人だと解釈したという事なのか。
そこが一致出来ていれば、違和感持たなくて済んだのか。
他作品含め、二次創作を読み慣れてる人だったらそういう葛藤は
ないのかなぁ。
10/26時点で7作発表される、または発表が決まっている、
あとの6作はどうなのだろう。
いっそかけ離れてしまってる方が無邪気に読めるだろうか。

心の隙間を埋められない訳ではないけれど、
「鵺の碑」じゃなくてもいいから京極先生のお書きになる
百鬼夜行シリーズが読みたい、と思わずにいられない。