社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

数えずの井戸

そんなにネタバレな事は書いてないと思うが、念のためご注意を。

「数えずの井戸」(京極夏彦/角川文庫)読んだ。
読み手は番町皿屋敷のお菊さんのあの話だと分かっているし、
どんな話が噂として巷間に伝わってるかも最初に書かれている。
(徳次郎によって誘導されている部分もあるかもだけど。。。)
なので凡そのラストは分かった上で読む事になる。
主な登場人物それぞれに考える事、拘る事があって、それぞれがすれ違って
悲劇が生まれる・・・という流れ、誰が悪いのでもない。
いや、そうでもないか。
そこまで皿に拘らなくてよかったのに。お武家さんも大変だ。
吉羅も或る意味可哀想なんだけど、皿が欲しい播磨が欲しい
小娘なんかじゃなく吾を気に掛けて欲しい、の結果がこれだもんなぁ。
何とも言えない。
出てくるみんな、ちょっとずつ欠けている。
家宝の皿が1枚欠けてるように。
お菊さんの真っ直ぐさ、真面目さが尚更悲しい。
播磨の”欠けている”と考えている事も、最後に納得出来ていたらいいよな。

それにしても二次曲線のようなスピードで読んでしまった。
メインの人物(今作ならお菊さんと播磨)が不憫というか
先先色んな目に遭ったり色色おっ被されちゃうんだろうと思うと
辛くて読めなかったのだが、後半一気に読んじゃった。
旅行に持って行ったが、そういう意味では失敗だったかも。
1日目で読みきっちゃったから。あと読むもん無くて苦労した。