社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

届かない。

ダ・ヴィンチ」の「これなんぼや?」で歌詞の話が出ていた。
丁度買った時にこれ読んで、気になったので次の号でも見てみた。
「歌の中で、最近は情景描写が全然なくなってしまいましたよね」
名越康文さんが仰っていたけれど、本当にそうお考えならば
「音楽とことば〜あの人はどうやって歌詞を書いているのか〜」
(江森丈晃・編/P-Vine BOOKs)に登場する方々の歌を
是非聴いて、歌詞を読んでみて欲しいと思う。
2009年3月出版の本で、もしかしたらそれ以降に登場した歌について
仰っているのかもしれないが。
そもそも、途中から読んでるので意図が掴みきれてない箇所が
あるかもしれないが。
でも・・・なぁ。

この本は13人のアーティストが自らの歌詞作りについて
インタビューを受けているものである。
本が出版された後、もう居なくなってしまった方もあるし
バンドが無くなってしまった方もあるし、
ここに登場する方同士で新しい音楽を始められた方々もある。
作詞方法がまた変わられた方もあるのかもしれない。
ただ言葉を紡ぐのではなく音楽に乗る、共に奏でられる上で、
どう言葉を扱うのか一人ひとり違う方法で工夫が重ねられている、
その事だけは変わらないのだろうと思う。
LEO今井曽我部恵一小西康陽向井秀徳の話が面白かった。
志村正彦の歌詞についての考察が思っていた以上に分析的で
この本読んでよかったわー、と思った。
バンプの「花の名」のサビについての話が深い。
歌の盛り上がり・キーと母音との関連、等。
考慮してこの曲を作ったのなら天才、との事だけれど
意識せずに作ったのだとしても凄い事だと思う。

で、各アーティストが過去や現在の音楽、人のも自分のも分析して
よりリアリティを持たせる、より音楽の良さを高める為に
工夫を凝らし、発信しても広く届かない現実ってなんなんだ。
歌のリアリティの為に実生活を殉じてしまったような人も
居るのに。
なんで届かないんだろう。。。
この本に掲載されている歌だけでも、情景描写が見事な歌、
単に気持ちを書きなぐるだけじゃない歌が載っているのに。
逆にそんな歌は、もう届かなくなってしまったのだろうか。
生活に困らない程度に売れていたらいいとは思うけれど
そんなんじゃ届かないのだろうか。

個人的には栄純のこういう話も読みたかったなぁ。