社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

いかなごのくぎ煮

長年この季節になるとネタにしようと思っていたが
あまりに限定された地域故避けていたが・・・
うっかりボイスで呟いたら反応あったので、書く。

春の風物詩、いや、春の行事。
いかなごくぎ煮

す・またん」では垂水のものであるかのように放送されていたが
神戸西部〜明石に淡路、もしかしたらもうちょっと広いかもしれない。
三宮で飲食店やってはる父の友人も炊いてはったし、
黒猫チェルシーの岡本の啓ちゃんも呟いてはったので。
瀬戸内海沿岸の人はみんな炊くんだと思っていた。

そもそも、いかなごくぎ煮とは何か?
ちっちゃなちっちゃないかなご(しんこ、こうなご等とも)を
醤油・砂糖・みりんetc.でひたすら鍋で炊いたもの。
佃煮の一種らしいし、説明する時に「佃煮みたいなやつ」と言うが
「佃煮なんだよねー」と言ってしまうといかなご地域のおっかさんに
厭な顔をされる恐れがあるので、注意が必要だ。
個人的には佃煮より水分飛んでるよーな気がする。
いかなご地域のおっかさんは、これをキロ単位で炊くのである。
ハハ・オカンも「今年は炊かへん」と言いながら1回は炊く。
気合入った人なら2ケタキロ炊いてるんじゃないだろうか。
何故かは知らない。
春、即ちいかなごの季節が近づくと、郵便局ではゆうパック利用者に
いかなご用タッパーをプレゼントする。
(B5より少し大きいくらいの平べったいプラスチックの保存容器。
 勿論密閉出来るやつ。)
そして、送付用にレターパックを宣伝。
いかなご専用窓口が出来るとか郵便局にいかなごの山が出来るとか。
スーパーやホームセンターも同じくいかなご用タッパーや
調味料を山積みにする。
いかなご解禁」というニュースが駆け巡れば明石海峡大橋周辺は
いかなご漁の船で混み合って(遠くから監視してるとこがあるらしい)
魚屋やスーパーの店先にいかなご達が大量に並べられすぐ売り切れ
おっかさん達はくぎ煮を炊いていく。
そして配る。
何故か配る。
いかなご地域内ではほぼ交換状態、食卓には複数のくぎ煮が並び
「これがうちの、これが○○さんとこの、これが△△さんとこの」
「今回はレモン風味にしてみてん」という会話が為される。
(食べ比べも楽しみの一つである。)
人によっては、ふるせを同様に炊く。
これは五寸釘煮か。
いかなごくぎ煮を炊いて初めて、いかなご地域の主婦として一人前に
なる、と言っても吝かではない。
まだ小生の同世代で炊く人はいないが、そのうち友人が炊いたよーって
送ってくるのかもしれない。
おっちゃんも炊く人は炊く。
万城目学の小説みたいだけど、そういうもんなのである。

地元新聞・・・神戸新聞ですな、の夕刊のイイミミも
いかなごの話題だらけとなる。
今年は塊になっちゃう、という人へのアドバイスなんだっけな。
出始めは少量を炊くと良いらしい。
去年は「くぎ煮いっぱい貰ったけど、実は嫌いで食べてない・・・」
という嘆きが多かったような。
まだ大量のいかなご攻撃を食らった事は無いが、自分とこの分だけでも
おでん作る鍋いっぱいに炊いてあったりするので実は食べるのが大変。
かといって、全く無いのも寂しいんだよなぁ。。。
釜揚げが好き、という御仁もいらっしゃる。
いかなご地域外に送られるようになったのは、阪神・淡路大震災の後から
かもしれない。
元気ですよー!支援ありがとう!という意味で。

今年のハハ・オカンのくぎ煮。ちょっと柔らかめ。


お弁当のご飯にも乗せたりしてね。

オカン曰く、新鮮なのを炊くのが良いらしい。
調味料もいいお醤油使うと美味しかった。
トメ・オカンのも楽しみだけど、今年はそれどころじゃないからなぁ。。。