社会学的ラブソングアーカイブ

はてなダイアリー終了に伴う「社会学的ラブソング」アーカイブ。

そして二人は

海沿いの町を目指した。
二人はさっき、出会ったばかり。
お城でも都会でもなく、海沿いの町にある喫茶店へ行く事を決めた。
男、なるべく安全運転で、と話す。
女、嬉しそうに頷く。


海へは男にとっては休みの日にぶらりと出かける道、
女にとっては懐かしい道を通っていく。
将来の事、仕事の事、など、とつとつ、とつとつ、と
取りとめも無い会話が続く。
男、肉の話に目を輝かせる。
女、少し心細くなる。


やがて車は海沿いの町へ。
車を駐車場に止めようとするが、高さが災いして上手く止められる場所が
無かった。
やがて止めたコインパーキング、どうすれば良いのか不安がって
確認しに行く男。
女の顔に不安の影が横切ったのは気のせいだろうか。


女が行こうとした喫茶店は、海沿いの町には不釣り合いな小洒落た店だが
見当たらない。
ならば男が行こうとする喫茶店に行こうではないか。
男は案内するが、女には何処にあるのか分からない。
元の駐車場に戻ってきてしまった、と思ったら車で店まで行くとのこと。
男の説明が足りないのか、女が聞いていないだけなのか。
言葉が少なくなる。
車で10分ほど行った所にある喫茶店は、看板のネオンサインが壊れ
少し寂れた感じがする。
中は盛況。
窓の外は春の夕暮れの海。
女は何故行きたがっていたのか、分かった。
男は窓に面したテーブルが一杯だったのか、少し残念だった。
海を眺めながら、とつとつ、とつとつと会話をする。
男は次は見晴らしの良い公園に行かないか、と誘う。
歩いていける筈、と思っていた。
だが女が思っている公園ならば、歩いていけるような距離ではない、
車で行けば良いのに。
女はそう答えた。敢えて何時行くかは答えず。
男はそれでも、歩いて行きたがった。


また車に戻り、数分先の見晴らしの良い駐車場に向かった。
少し霞んだ、色の無いようで微妙な色彩を帯びた海と空を眺めて
女は少し笑顔を取り戻す。
そういえば「フローズン・ビーチ」って歌があったわね。
男はそんな女の思いに気づいたか知らないが、海で海苔の養殖をしている事や
砂浜で遊ぶ子供達について話しかけていた。
女は綺麗ね、と繰り返した。


再び車で駅へと戻る。女を送る為に。
もう二人に会話は無かった。
筈だったが、無言の重たさに耐えかねた女は京都に花を観に行った事、
でもその年は暖か過ぎて行く先々の花が終わっていた事を話した。
再び無言になった時、二人はもう会わないだろうという事を確信した。






あー疲れた。
見合い、もうやだよ・・・。
もう年上でも頼れず不安になるような人しか残ってないのかい。
お世話係さんも「何で?」を責めるように連発するから
返事するのもやだよ。
そりゃ「何となく・・・」というのも誠意ないだろうけど
「何で?」「具体的に言うてみ」もやだよ。疲れました。。。
もう1人で朽ちてくよ。
見合いの帰りにリーサルウェポンに手出してもこれだもんなー。
今度、今日行った海には1人で行ってくる。1人で黄昏てくる。